関心領域を実現できる企業を選ぶ
最後の4ステップ目、実はこれが一番大事です。そう「どこで実践するかを決める」ことが一番難しいのです。
ここではパターンが2つあります。事業そのものがSDGsに直結している企業と、事業をSDGsに結び付けようとしている会社です。
<パターン1 事業そのものがSDGsに直結している企業>
これはイメージしやすいはずです。エネルギー、食糧、環境、医療、。ヘルスケアなどに関連する事業を行う企業を選べば間違いなし!
仮に再生可能エネルギー系(太陽光、風力、地熱)なら、太陽光だけでも下記の企業があります。
・レノバ 再エネ専業のリーディング企業。太陽光・バイオマス・洋上風力にも強い。
・オリックス 金融のイメージが強いけれど、全国で太陽光発電所を開発・運営。
・京セラ / シャープ 住宅用ソーラーパネルの大手。国内外で普及を牽引。
・ソフトバンクグループ(SBエナジー) 東日本大震災後に参入。大規模メガソーラー事業を展開。
風力発電、なかでも安定的にエネルギーの供給が可能と言われる「洋上風力発電」では……
・JERA(東京電力・中部電力の合弁) 日本最大級の電力会社。洋上風力に数千億単位の投資を進めている。
・日本風力開発 日本の風力専業パイオニア。北海道や東北で大型案件を展開。
・丸紅など商社系(伊藤忠、三井物産、住友商事など) 洋上風力は巨大プロジェクトなので、総合商社が主導。特に丸紅は英国や台湾でも実績あり。
ほか、脱炭素・省エネ関連企業では、パナソニック(省エネ家電、蓄電池)、トヨタ(ハイブリッド・EV)、ダイキン(省エネ空調)、リコー(循環型オフィス機器)、イオン(食品ロス削減の仕組み)などがSDGsに力を入れています。
事業そのものがゴールに関連する企業、社会問題ならこんな企業があります。
・教育×テクノロジー(EdTech)なら、リクルート(スタディサプリ)、ベネッセ、atama+など
・医療・ヘルスケアなら、武田薬品、テルモ(医療機器)、中外製薬など
・インフラ・まちづくりなら、清水建設(ゼロエネルギービル)、LIXIL(途上国向け衛生トイレ「SATO」)、JR東日本(再エネ鉄道運営)
<パターン2 事業をSDGsに結び付けようとしている会社>
こちらは、主業はSDGsとは関係なさそうだけど、SDGsの実現に向け取り組んでいる、といった企業。例えば金融、保険では……
・三井住友フィナンシャルグループ(SMBC) 石炭火力発電向けの融資を制限するなど、「脱炭素金融」で日本のメガバンクをリード。
・日本生命・第一生命 ESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した投資)を積極的に推進。
消費財・食品メーカーでは……
・花王 パッケージのプラスチック削減、フェアトレード調達を推進。SDGsの受賞歴も多数。
・ユニ・チャーム 途上国向けに安価な衛生製品を普及させる取り組み。女性のエンパワーメントにも直結。
・アサヒグループHD 水資源保護や再利用ボトルの推進。ビール業界全体での「環境貢献型商品」をリード。
小売・サービスでは……
・イオン フェアトレード商品や食品ロス削減、エコストア展開。
・セブン&アイHD 「環境に優しい店舗設計」「食品廃棄ロス削減」の取り組み。
IT・通信では……
・NTTグループ 「IOWN構想」(電力消費を大幅に減らす次世代通信基盤)を掲げ、脱炭素とSDGsに積極的。
・楽天 プラスチック削減のための物流改善や、フェアトレード商品ECの強化。
建設・不動産では……
・清水建設、大林組 「ゼロエネルギービル(ZEB)」の普及や、都市の持続可能性に配慮した開発。
・三井不動産 大規模再開発で「環境」「働き方」「地域共生」を掲げ、国際的にも評価。
といったところが挙げられます。「それ、ほとんどの企業があてはまるんじゃない?」と思った方、あなたは勘がいい。今やESG経営――環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance:企業統治)は、多くの企業が注力しているか、し始めています。なぜって、例えば環境に悪い廃液や残留物をまき散らしながら商品を作っていたら、発展途上国の子供を酷使しながら商品を作っていたら? いつかネットで大炎上しますよね。不買とか起こりますよね(これは別のページで詳しくお話しします)。目先の数年はいいかもしれないけど、今後数十年にわたって事業を継続していけるでしょうか? 答えはNOです。だから今は、ESG経営をしていなければ、投資を受けられない、商品を買ってもらえない、といったことが起きています。
逆に言えば「事業をSDGsに結び付けようとしている会社」は非常に多いのです。このページを読んでくれているあなたが活躍する場は増えています!
そんなわけで、最後にまとめたいと思います。
「SDGs的に役立ちたい」という気持ちは、就活では 「理想論」から「戦える志望動機」へ翻訳する作業 が必要です。そのための4ステップは……
関心領域を明確化
経験と結びつける
学びと実践を語る
企業選びに落とし込む
これを実行すれば、あなたの「志望動機」は面接官の心に刺さります。