「コンサルティングファーム」って言葉、なんとなくカッコいい響きがありますよね。同窓会や親せきの集まりがあったら名刺配りまくりたくなっちゃいますよね。けど実際のところ、彼らは何をやっているのか? 就活で志望する価値はあるのか? そのリアルをお話ししましょう。
実は「ファーム」という言葉には、就活生がイメージする「農場」とか「牧場」の意味は関係なくて、綴りもfirm。専門家集団が集まった事務所、って意味なんです。
「ファーム」の意味
Law firm(法律事務所)
Accounting firm(会計事務所)
Consulting firm(コンサルティング会社)
じゃあ「コンサル」って何でしょう? 簡単に言えば「頭脳の外注」です。
例えば、あなたが町のラーメン屋さんの店長さんで「もっと売上を伸ばしたい!」とします。その場合「駅前で値引きのチラシ配ってみるか」とか「SNSで発信してみる?」とかそんなことを考えますよね。
でも全国で200店舗くらいある中華料理チェーンだったとしましょう。チラシを配るにしても投資額が大きい。どんなチラシをどこで配って、どれくらい値引きして、それが何枚使われて、結果、経営にどれくらいプラスだったのかとか考えなきゃ前に進めません。そこで「プロの知恵を借りたい」となるわけです。
実際には、こんな悩みが持ち込まれます。
① 売上・利益が伸びない
「商品はそこそこ売れているけど、利益が全然残らない…」
→コンサルは、コスト構造を分析したり、値付けの仕組みを見直したりします。たとえば飲料メーカーなら「1本100円で売るより、120円で少し高級感を出したほうがトータルで利益は出る」とか、データを使って提案するわけです。
② 新しい市場に挑戦したい
「国内はもう飽和状態。海外に出たいけどどの国がいい?」
→アジア進出か、それとも欧州か。現地の競合状況や消費者の嗜好を調べて、勝てそうな市場を特定します。例えば化粧品メーカーがコンサルに調査を依頼したら「東南アジアの若い女性はSNSで口コミを重視する」という分析結果が出て、実際にインフルエンサーを使った戦略で海外進出してみたらシェアがやばいくらい拡大した、という話もあったります。
③ IT・DX(デジタル変革)を進めたい
「社内のシステムが古すぎて、もう業務が回らない」
→これも典型的な相談。アクセンチュアやデロイトなどは強い分野です。例えば「営業が手書きで日報を出しているから分析ができない」という会社に対し、クラウドCRMを導入してデータをリアルタイムで共有できるようにする、なんて解決策を提示します。
じゃあ、どんな業界があるの?
まず日系大手。
野村総合研究所(NRI)
→金融系システムと戦略コンサルの両方に強い。IT寄りのコンサルティングの代表格。
三菱総合研究所(MRI)
→官公庁や社会課題系のプロジェクトに強い。政策の提言もしちゃいます。
船井総合研究所
→中小企業の経営支援で有名。現場に密着して、地方の小売店や病院の経営改善などを行います。
次に、グローバル系の大手ファームの中でも、経営戦略のコンサルを見てみましょう。有名企業の社長が「成長戦略を描いてほしい」みたいな感じで頼る会社です。有名どころは……
マッキンゼー・アンド・カンパニー
ボストン コンサルティング グループ(BCG)
ベイン・アンド・カンパニー
アクセンチュア
このあたりです。新規事業を立ち上げるならどの分野か、会社の貯金、いわゆる「内部留保」をどこに投資すべきか、といった経営判断にまつわるコンサルをします。
次に、監査法人の世界BIG4は……
デロイト トーマツ コンサルティング
PwCコンサルティング(ピー・ダブリュー・シー コンサルティング、「プライスウォーターハウスクーパース」の略)
KPMG(合併した4つの会計事務所の創業者・パートナーの頭文字)
EY(Ernst & Young)
です。その前に「監査法人ってなに?」って話ですよね。上場企業は決算を発表します。年にいくら儲かったけど、この部門はこれだけ赤字、この会社にこれだけ出資し、みたいな数字が並んだものです。で、投資家はこれをもとに株を買ったり売ったりするから、これが嘘じゃまずい。そこで上場企業や、一定の基準を満たした大企業は、「監査法人」って会社に自社内をチェックしてもらって、「この会社の数字はごまかされてませんよ」と保証する義務があります。
つまり監査法人は「企業の数字」を深く理解するプロ集団ってことです。で、そんな監査法人は、監査の延長で「アドバイス」も求められたわけです。
監査をしていると「御社の在庫管理はちょっと効率悪いですね」とか「この海外子会社、成長してないのに経費は増え続けてませんか?」といった課題が見えてきます。すると企業側からこう言われるわけです。
「じゃあ、どう直したらいいの?」
そこで監査法人にはコンサルティング部門ができ、いつしか両方できて当たり前になったんです。なので、先に挙げた監査法人のBIG4は、世間ではすでに「コンサル」のくくりでとらえられています。
じゃあここからは就活生の疑問に答えていきましょう!
年収が高いって本当ですか?
本当です。ERI(Economic Research Institute)による調査では、コンサルタント全体の平均年収は 約1004万円、日本の平均年収(約430万〜460万円)の2倍以上!
でも仕事、ハードなんですよね?
はい!体力的にも精神的にもハードですよ!
基本、長時間労働します。「毎日終電」「週末出勤」も珍しくありません。クライアントからは「何億円も払ってるんだから、成果を出して当然」と見られます。しかも社内のライバルは優秀な人だらけ!
ただし、得られるものも大きく、入社数年で大企業の社長と直接議論する経験は、他業界ではまずあり得ません。こんな緊張感があれば、成長スピードも段違い。毎日が「経営者との模擬試合」。論理的に思考する力、資料を作成しプレゼンする力が爆速で鍛えられます!
労働基準法的な何かに引っかからないんですか?
実は引っ掛かりません。多くが「裁量労働制」という働き方をしています。通常は「1日8時間・週40時間」を超えたら残業代が出ますよね。でも裁量労働制では「成果を出すためにどれだけ働くかは本人の裁量」とされるんです。だからお給料も「年俸制」「成果報酬型」の場合が多い。成果を出せば給料もボーナスが跳ね上がります。
やりがいはありますか?
コンサルティングファームで活躍すると、大手の経営者になって億単位の年俸、みたいな話も夢じゃなくなりますよ。例えばある会社の創業社長に経営戦略のアドバイスをしてたとしましょう。社長が引退する時「次の社長、頼むよ」みたいな話にもなりますよね。
経営戦略に詳しく、様々な企業の経営に携わってきたわけですから「うちの経営を立て直してほしい」と頼まれる場合も多いです。ほかにもこういう新規事業に力を入れていきたいから、ここの部門の役員になってください、なんて話もあります。ドロドロした話だとい、社長が引退するけど業績が下落傾向で誰も社長になりたがらない、なんて場合に声がかかることもあります。
例えば、ソニー、リクルート、楽天、といった大企業で社長や役員になっている人の中にはコンサル出身者が多いんですよ。年俸も高くて、日本経済の行く末が自分の双肩にかかっているんだから、そりゃやりがいもあるでしょう!!
じゃあ、どんな人が求められてるの?
ズバリ頭がいい人。なかでも論理的思考力があって、それをきっちり説明できる人です。
一般的な流れとしては、外資、日系問わず、まずは書類選考、具体的にはESと、SPIやGMAT(ジーマット)型の数的処理テスト+英語試験などです。ようするに、数学使うぞ! 英語使うぞ! というわけです。
次に「ケース面接」が行われる場合が多い。例えば
「日本の大手自動車メーカーが電動キックボードの市場に参入するとします。成功する可能性は? 成功に導くためのアドバイスもください」
といった質問が飛んできます。答えに“正解”はありません。評価されるのは──
問題を整理する
仮説を立てられるか(数字を使えるか)
論理の筋道を相手にわかりやすく説明できるか
まずは「問題の整理」をします。
「まず、市場に需要はあるか? その市場で自社の強みを発揮できるか? の2点を整理します」
次に数字を使いながら仮説を立てます。
「まず市場ですが、5キロまで程度の近距離移動需要は増加しており、都市部や観光地でのニーズは高いと言えます。脱炭素・EV化の流れも追い風です。ただし安全性への懸念、充電インフラ不足が市場拡大の障壁になります」
「次に競合優位性ですが、大手自動車メーカーなら、電池やモーターなどの技術力が高く、全国、全世界に販売・サービス網があり、何より安全で壊れにくい、といったブランド力があります」
最後に、論理的にまとめます。
「したがって「安全性の担保」と「充電環境の整備」が成功の前提条件だと思われます」
「そして安全性は、大手自動車メーカーであれば、レーダーで衝突を回避するシステムなど、自動車に搭載されている技術を流用することで高められるはず。全世界に数千カ所はあるはずの販売店やディーラーを利用する、観光に注力する自治体と組む、といったことで充電スポットの拡充も可能です」
「すなわち、成功の確率は高いと思われます」
そんな回答ができればOKです。
次に面接では、タフかどうか、好奇心・学習欲があるか、チームワークで問題を解決できるか、といったところが問われます。まさにコンサルに求められる人物像かどうかを聞かれる、という感じですね!
では、そろそろまとめましょう。
「コンサルティングファーム」と聞くと、どこかキラキラした響きがあります。年収も高いし、経営者と議論できるし、成長スピードも爆速。確かに魅力的です。
一方で、リアルは「成果を出して当たり前」とプレッシャーにさらされ、深夜まで働き詰めになることも多い。いわば“成長か燃え尽きか”のジェットコースターみたいなキャリアです。
だからこそ大事なのは、「自分はなぜコンサルを志望するのか」を突き詰めること。
・「論理的に課題を解くのが好きだから」
・「いろんな業界を横断的に知りたいから」
・「若いうちから修羅場をくぐって成長したいから」
理由は人それぞれで構いません。
就活の現場では、「コンサルはキツいけど、なぜそれでも挑戦するのか?」を問われます。ここをしっかり語れる人こそ、面接官に「この人は本気だな」と思わせられるのです。
結局のところ、コンサルは “頭脳の格闘技”。体力・気力・知力すべてを総動員しなければなりませんが、乗り越えれば日本経済を動かすようなダイナミックなキャリアにつながる可能性があります。