今日は「自己PRだ、ネタ作りだ、エントリーシートだ、って言われても、自分のいいところなんか何もない」というキミのための話です。
まず、いきなりだけど、あなた、実は素晴らしいんですよ。ただし、日本の倫理観に縛られているんです。
日本人は「俺はこれができる」「私のこの部分はすごい」と主張しません。むしろ「いやあ、私なんかそれほどでも」と謙遜する方が、多くの人に受け入れられる、そんな風土があります。日本社会は「和を重んじる文化」です。みんなが同質で、だから仲良く、というところがあります。だから「俺はすごいぞ!」と出しゃばる人は嫌われました。
でも仕事の場では非効率です。「これできる?」と聞かれ、本当はできるのに「いやあ、僕なんか」じゃいけない。
それ、はっきり言って損してます。それ、直さないと一生損します。
むしろ、できないのに「それできます!」と答え、必死でやってなんとかこなして、最終的に「できるようになっちゃった」くらいでいいんです。
例えば、私が教えてきたある学生は、ゼミでデータ分析をリードしてコンペで入賞したのに、「自分はたいしたことないです」と言って落ちました。それはもったいないと「自分の強みは“地味な作業を粘り強く続けられること”で、その結果、コンペ入賞に導けました」と語るようになるとジャカジャカ内定を勝ち取り始めました。
じゃあ、あなたに何が必要か。それは……
「根拠ある自信」です。
突然、変なこと言いますね。
すべての命には、生き延びてきた理由があります。ジブリのようなこと言いますけど、本当なんですよ。例えば亀。強くないし速くもないけど、子供めっちゃたくさん産むからたまに生き延びるやつがいて、ある程度生きると背中の甲羅で防御力MAXになります。だからあんなクソトロいやつらが何千万年も生き延びて世界中にいるんですよ。マグロは、たくさん産む上に速い。時速90kmとかで泳ぐ。だから生き延びてきた。
逆に、すごいやつらも、弱点はあるんです。例えばカメは「マグロって速くてすばしっこくてすごいなぁ」と思うかもしれないけど、実をいうとマグロに防御力はほぼない。表面のヌメリくらいしかなくて、例えば人間が触るとヌメリが取れて、そこから細菌感染が起きて死んじゃうくらい弱いんです。一方、カメは自分が防御力MAXなんだけど、自分が持っているものは「誰でも持ってる」と思い込んで、自信が持てないでいる……
なんか昔ばなしみたいになってきたけど、これ、就活あるあるなんです。
人間に置き換えれば、例えば「弁が立ってみんなを引っ張っていける人」っていますよね。けっこうまぶしく見えます。でもそういう人にも「コツコツ頑張るタイプじゃない」とか「使えない仲間は切っちゃう冷たさがある」とか、何か弱点もあったりしませんか?
勉強や部活で何か実績を持ってる人もまぶしく見えますよね。でも「個人でやることは頑張れるけど協調性がなくてチームで動くと浮いちゃう」なんて弱点はないですか?
逆に、評価されていない人でも、あなたから見て「すごい」と思う人もいませんか? 例えばオタクっぽくてコミュニケーション能力もなさげだけど、何かに夢中になるとすごい力を発揮するとか。
例えばいつも集団の中では埋没しちゃうし、自分の意見も言わないけど、与えられた役割は黙々とこなしてやりきるとか。
カメとマグロのたとえに戻りましょう。カメは背中の甲羅が見えないから、速いマグロがすごく見える。マグロもカメはのろいやつだと思ってる。でも、実は両方、生き延びるための力を持っているんです。
ここカットしていいんで、姉の話、していいですか?
自分の姉は友達も少なくて、そもそも口数も少なくて、勉強も部活も得意じゃない。弟の僕は活発で、勉強ができたから、親から可愛がられたのは僕だったんです。僕はずっと、恥ずかしい話だけど、姉より僕の方が世の中から評価される人だと思っていた。
でも大学何年生かの時に、僕の評価は変わった。自分の思い上がりがどれだけ恥ずかしいことか知った。
僕は東京の大学に行くことになった時、社会人だった姉が「お金もいるだろうから月々1万円仕送りするよ」と言ってくれた。最初は「ありがとね」「まあお金がなくなったらやめるでしょ」くらいの感じだったんだけど、姉は毎月の月末に、1日も間違えずに、1万円振り込んでくる。1回たりとも遅れたことすらない。
2年生くらいになって「ああ、俺はなんて愚かだったんだ」と痛切に思ったわけです。姉と僕では、生き方や得意なことが違っただけだった。姉さんはすげえ、と思ったんです。
さて、あなたはどうでしょう?
もしあなたが自分のことを「いつもその他大勢に過ぎない」とか「流されて言うこと聞いちゃう」「自分の意見がない」とか思っているなら、それってすごいことなんですよ。例えばリーダータイプっていますよね。躊躇なく自分の意見を言えて、目立つことに抵抗がない、というより目立つのがむしろ好きそうで、いろんなこと仕切っちゃうような人。そういう人って、口に出さないけど、実はあなたのこと、必要としてるんです。リーダータイプの人は必ず「リーダーについてくる人」が必要なんですよ。例えばこんなの、どうですか?
「私はどこを目指して走っていくか決めるリーダータイプじゃありません。でも「ここに走る」と決めたら黙々とそこに向けて走るタイプなんです」
加えて、こんなこと言えたらいいですよね。
「周囲に脱落しそうな仲間がいたら声を掛けます。スピードアップが必要な時は、「みんな頑張ろうぜ」と口にすることもあります。意見を言うとか、そういうことはあまりないのですが、動物で言えば働きバチ、働きアリのような感じで黙々と仲間と組織のために働くタイプです」
もっとありますよ。もしあなたが「口下手」「営業とか無理!」と思っていたら、こんな話、できたりしませんか?
「気が利いたことを言うタイプではないので、たいてい、明るくておしゃべりが得意で仲間がいっぱいいる友達の陰に隠れます、というより埋もれます(笑)。でも、何かを盛ることができず、嘘がつけず、口車のようなもので人を動かすのは苦手なんで、意外と、最後に信用されるのは私だったりします」
口がうまい、ってことは「場合によっては話を盛る」「必要とあらば人を口車に乗せる」ってことなんです。あなた、逆にそういうのはしませんよね。でもそれってすごいことなんですよ。
もっとあります! あなたは自分のこと「地味!」とか思ってませんか? 「目立つの嫌い」とか思っていませんか? それも凄い能力なんです。
「よく“地味”と言われますし、自分でもそう思います。でも意外な役割があるんです。いつもは地味な私が何か一生懸命話すと周囲は『これは何かある』と思ってくれますいつの間にか、会議の行方を決める係になっていたりするんです」
とかかな。
人から見て全然魅力がなければ、コツコツと頑張る能力があればいい。ケンカが弱くても、みんなをまとめる力があればいい。あなたがクラスでずっと目立たない存在で、部活でも存在感を発揮できず、勉強もできないとしましょう。でもあなたはあなたなりに社会に受け入れられようと努力したはずです。掃除のような地味なことになると、みんなが遊んでいる時も笑顔で頑張るとか。いじめられてる子をそっと助けたりとか、パッとする成績は残せなかったけど、部活や音楽に打ち込んできて、後輩の面倒を見るのは好きだったとか。
で、これを知ると「根拠がある自信」になるんです。
今から大事なこと言いますね。人間には、いや、動物も含め、何か、生き延び方があるんですよ。馬は速い、僕の姉は人のためにコツコツ頑張れる、逆に言えばまぶしいアイドルだって、できないことはいろいろある。英語でアイドルって、「何にもならない」といった意味もあります。ボーっとしてる時間のことを「アイドルタイム」って呼びますよね。アイドルは異性から見て魅力的であればそれでよくて、特に何か生産することはないんです。
あなたは何で生き延びてきたんですか?
長くなりましたが、それに気づくのが、本当の「自己分析」なんですよ。